2021年は、多くの企業でデジタル化・IT投資などの動きが活発に見られた1年となりました。
Webマーケティングやインターネット広告の市場規模は拡大基調にあり、デジタル化の流れは今後も継続することが見込まれます。
Google広告においても、2021年には時流や技術革新に応じた数多くのアップデートが行われました。
当記事ではGoogle広告の2021年における主要アップデートの内容を、全体・検索広告・動画広告の3カテゴリーに分けて解説します。
目次
1. 全体のアップデート
全体のアップデートとしては、機械学習を活用したスマート自動入札への機能対応が目立ちました。
スマート自動入札で使用するオーディエンス関連の用語もアップデートが行われ、広告主が機能をより理解しやすいように改善がなされています。
また、多くのチャネルに広告配信したい広告主向けに、新しいキャンペーンも実装されました。
広告主が利用しやすいサービスを目指すアップデートの流れは、今後も継続すると見られています。
1-1. スマート自動入札での「データ除外」機能
2021年1月、スマート自動入札での「データ除外」機能が提供開始されました。
「データ除外」機能とは、コンバージョンを計測できない状態のまま広告を配信した場合に、該当する日付のデータをすべて除外するよう指示できる機能のことです。
スマート自動入札で「データ除外」機能を利用することで、入札時に参照する情報から特定期間の不正確なデータが除外され、入札単価調整の最適化ができます。
1-2. 「コンバージョン値のルール」に重みづけ
2021年7月に「コンバージョン値のルール」が登場し、8月にはスマート自動入札を利用しているキャンペーンに適用されるようになりました。
コンバージョン値のルールとは、地域・オーディエンス・デバイスといったユーザー属性に基づき、コンバージョンの価値を設定する機能です。
コンバージョンの価値に重みづけがされることで、自動入札の入札戦略や費用対効果を最適化できるメリットがあります。
1-3. オーディエンスレポート・オーディエンスに関する用語のアップデート
2021年8月、オーディエンスの設定やオーディエンスレポートの閲覧で用いられる用語のアップデートが行われました。
従来用いられていた用語である「オーディエンス」「カテゴリ」「ユーザー」の3つは、アップデート後は「セグメント」に統一されています。
また「リマーケティング」は、「広告主様のデータ」と大きく名称が変更されています。
1-4. 特定の広告主が過去30日以内に掲載した広告が閲覧可能に
2021年9月には、特定の広告主が過去30日以内に掲載した広告を、ユーザーが閲覧可能になるようにすると発表されました。
ユーザーが広告を適切に判断できる材料を増やし、「広告の透明性」を確保することが目的です。
本アップデートはまずアメリカ国内で行われ、2022年中には各国で順次展開する予定とされています。
1-5. P-MAXキャンペーン
2021年11月にP-MAX(パフォーマンス最大化)キャンペーンが登場しました。
P-MAXキャンペーンとは、Googleの擁する多彩なチャネルに、1つのキャンペーンで広告配信ができるキャンペーンタイプです。
配信先のチャネルは検索・ディスプレイ・Discover・Gmail・Googleマップ・YouTubeの6種類となっています。
キャンペーン作成・管理の手間を省き、広告による成果を最大化しやすい点がメリットです。
2. 検索広告のアップデート
検索広告のアップデートは、広告に設定するキーワード関連の変更点が多く見られました。
検索語句の15%は新しく生まれていると言われており、検索広告にも新たな検索ニーズに対応できる機能が求められています。
また、広告作成・入札設定は簡略化が進められ、広告主がより簡単に検索広告を配信できる体制が整えられています。
2-1. マッチタイプの仕様変更
2021年2月、キーワードの絞り込み部分一致の動作がフレーズ一致に組み込まれるアップデートが開始されました。
7月には絞り込み部分一致は完全に廃止され、従来の動作は全てフレーズ一致に組み込まれる形となっています。
以上の仕様変更により、Google広告のキーワードマッチタイプは「部分一致」「フレーズ一致」「完全一致」の3種類のみとなりました。
2-2. レスポンシブ検索広告のデフォルト化
2021年2月、検索キャンペーンにおけるレスポンシブ検索広告のデフォルト化が発表されました。
従来はテキスト広告か、レスポンシブ検索広告かを選択する形式であったのに対し、現在はデフォルトでレスポンシブ検索広告が選択される仕様となっています。
なお、Googleはレスポンシブ検索広告への移行を推進しており、拡張テキスト広告の新規作成・編集を2022年6月に廃止することも発表しています。
2-3. スマート自動入札のシンプル化
2021年4月に、検索キャンペーン向けのスマート自動入札がシンプル化されました。
入札戦略を4種類の中から選ぶ従来の形式に代わり、「コンバージョン数の最大化」「コンバージョン値の最大化」と2つの分かりやすい目標から選ぶ形式となっています。
スマート自動入札がシンプル化されたことで、検索広告の入札戦略で迷うことが少なくなり、プランナーの負担が軽減されます。
2-4. 検索語句レポートの表示基準変更
2021年9月には、検索語句レポートの表示基準が変更されました。
検索キャンペーンと動的検索広告キャンペーンの検索語句レポートにおいて、プライバシー基準を満たす検索語句が従来よりも多く表示されるように変更されています。
この変更は、ユーザーのプライバシー保護と、広告主への検索語句の開示を両立させる取り組みの一環です。
検索語句レポートの表示基準変更は今後も行われる可能性があります。
3. 動画広告のアップデート
動画広告の市場規模は拡大が続いており、Googleにおいても数多くのアップデートが行われています。
2021年における動画広告のアップデートは、広告を閲覧したユーザーの直接的な行動を促す内容や、広告主が動画広告を活用しやすくなる内容が中心です。
3-1. 商品フィードの追加
2021年11月に、商品フィードを追加できる動画キャンペーンタイプの拡充が発表されました。
ブランド・商品の認知向上や比較検討などを目的とした動画キャンペーンも、商品フィードを追加することでショッピング画面としての役割を持つことが可能です。
動画コンテンツを閲覧したユーザーに自然な流れで商品一覧を表示できるため、コンバージョン率の向上が期待できます。
3-2. エンゲージビューコンバージョンへの共通化
2021年2月には、動画キャンペーンの効果を計測する手法について、エンゲージビューコンバージョンへの共通化が図られました。
エンゲージビューコンバージョンとは、動画広告がクリックされなかったものの10秒以上視聴された後で、一定期間内にコンバージョンに至った数値のことです。
すべての動画キャンペーンでエンゲージビューコンバージョンを計測できることで、異なるキャンペーンタイプ間における動画広告の効果を正確に比較しやすくなります。
3-3. 動画アクションキャンペーンへ自動アップデート
2021年6月に、TrueViewアクションキャンペーンを、動画アクションキャンペーン(VAC)へ自動アップデートすることが発表されました。
自動アップデートは2022年初頭が予定されています。
2022年2月時点では、既存のTrueViewアクションキャンペーンを編集はできるものの、キャンペーンの新規作成は行えない状況です。
3-4. リーチ重視の動画キャンペーンが登場
2021年9月に、リーチ重視の動画キャンペーンとして「動画リーチキャンペーン」が登場しました。
動画リーチキャンペーンは動画広告がユーザーへと表示される回数を増やすことにより、リーチ数を稼ぎやすい点がメリットです。
広告の配信形式は、「スキップ可能なインストリーム広告かバンパー広告、もしくは両方の組み合わせ」と「スキップ不可のインストリーム広告」の2つから選べます。
4. まとめ
Google広告で2021年に行われた、13の主要アップデートを紹介しました。
全体的なアップデートの傾向としては、広告主がGoogle広告のキャンペーンを利用しやすいよう調整されている点が特徴です。
また、機能追加やシンプル化が行われたことで、スマート自動入札の利便性が高められています。
広告を閲覧するユーザーに配慮したアップデートがある点も見逃せないポイントです。
Google広告で2021年に行われたアップデートを踏まえると、2022年のアップデートも更なる機能拡充・利便性向上に関する内容を期待できます。
さらに内容を詳しく知りたい方はまずGoogle広告ヘルプからご覧ください。
Google広告ヘルプ:https://support.google.com/google-ads/#topic=10286612