先日、弊社サービスリスティング広告の無料診断のご依頼を頂き診断を実施していたのですが、実際の挙動がどうなる傾向にあるか把握せずに、自動入札戦略を設定したために、成果が悪化したという事例がありました。
そこで本日は、各自動入札戦略別にどのような挙動になりやすいかを紹介していきたいと思います。
ご紹介の流れとしましては、まずGoogle広告ヘルプページに記載されている入札戦略の説明を引用し、その後に、実際の挙動を記載します。
1.クリック数の最大化
1日の平均予算を設定するだけで、その予算内で最大限のクリック数を獲得できるように、入札単価が Google 広告システムにより自動的に調整されます。
クリック数の最大化:Google広告ヘルプ
「予算内で最大限のクリック数を獲得する」には、どのような挙動になるでしょうか?
設定しているキーワードで参加できるオークションのうち、クリックされた場合にクリック単価ができるだけ低くなるオークションに優先して参加していきます。
また、設定した予算はできるだけ使うような動きにもなるため、予算設定が大きければ大きいほど、クリック単価が高くなるオークションにも参加して、クリックを獲得していきます。
インプレッションシェア損失率の傾向としては、インプレッションシェア損失率(予算)が0%に近づいていき、逆にインプレッションシェア損失率(ランク)が高くなる傾向にあります。
2.コンバージョン数の最大化
特定のコンバージョン単価を目指すのではなく、コンバージョン重視で最適化して予算を使い切りたい場合は、コンバージョン数の最大化を使用することができます。
コンバージョン数の最大化:Google広告ヘルプ
ヘルプの記載はちょっと分かりにくいかもしれませんね。
平たくすると、「設定した予算内で最大のコンバージョン数を獲得する」といったところでしょうか。
実際の挙動としては、上記の「設定した予算内で最大のコンバージョン数を獲得する」のままなのですが、過去30日以内のコンバージョン数が少ない場合は、クリック単価が高騰するパターンなどもあるので、注意が必要です。
インプレッションシェア損失率は、キャンペーン内の設定によってまちまちですので、「こうです!」と言える傾向はありません。
因みに、この入札戦略を実施するうえでの、Google広告の推奨要件は「過去30日以内に15件以上コンバージョンを獲得していること」のようですが、弊社の事例では、過去30日以内に4件のコンバージョンだったキャンペーンが、月10件以上獲得できるようになった、ということがあります。
推奨要件もあくまで「推奨」であるってことですね。
3.目標コンバージョン単価
コンバージョンを最大化できるように最適化する場合は、目標コンバージョン単価を使用して、特定のコンバージョン単価を目指しながらコンバージョンを増やすことができます。
目標コンバージョン単価:Google広告ヘルプ
コンバージョン数の最大化と比較して考えるとわかりやすいです。
コンバージョン数の最大化は予算を高く設定すれば設定するほど、入札額の高いオークションにも参加し、「予算の許す限りコンバージョンを獲得」するような動きなのに対し、目標コンバージョン単価に関しては、例え予算を高く設定していたとしても、「設定した目標コンバージョン単価を達成できない」とAIが判断すると、わざと入札額を低くし、コンバージョン数の最大化よりもオークションに負けやすくなります。
結果、「コンバージョン単価の目標額は達成しているが、コンバージョン数は減る」ということも起こります。
よって、インプレッションシェア損失率の傾向としては、コンバージョン数の最大化と比較するとインプレッションシェア損失率(ランク)が高くなります。
コンバージョン数の最大化に設定していて、「コンバージョン件数は満足しているが、獲得単価が高すぎて困る」といった場合に、使用してみるのがよいですね。
4.コンバージョン値の最大化
特定の広告費用対効果をターゲティングする代わりに、予算全体を使用してコンバージョン値を最大化できるように最適化する場合は、コンバージョン値の最大化を使用します。
コンバージョン値の最大化:Google広告ヘルプ
コンバージョン数の最大化に似ていますが、「設定した予算内でコンバージョン値を最大限獲得するように入札する」という入札戦略ですね。
ECサイトなどで実際の購入額がコンバージョン値となるように設定している場合は、単純に買ってくれる人数を最大化するのではなく、トータルの購入額が最大になるように学習してくれるのがコンバージョン数の最大化との違いですね。
リスティング広告の無料診断を行っている中で、「これは注意した方がいいな」と思うことがありまして、「コンバージョン値の設定が適切か」ということです。
2つ事例を出します。
1つ目は、そもそも設定を間違えている(明らかに1円の価値しかない訳がないコンバージョンに、コンバージョン値1円が設定されているなど)
2つ目は、妥当そうなコンバージョン値が入っている
(例えば、①リードフォーム入力→②商談というビジネスで①→②の成約率50%、売上単価10,000円の場合、コンバージョン値5,000円)
が、設定当初から変更しておらず、営業のスキルアップの結果、成約率70%になっているのに、コンバージョン値は成約率向上に伴って変更していないより正確に学習させるために、「コンバージョン値の最大化」を利用する前に、コンバージョン値の設定を確認しましょう。
5.目標広告費用対効果
コンバージョン値を最大化できるように最適化する場合は、目標広告費用対効果を使用して、特定の広告費用対効果を目指しながらコンバージョン値を引き上げることができます。
目標広告費用対効:Google広告ヘルプ
コンバージョン数の最大化と目標コンバージョン単価の関係と似ているという理解が良いと思います。
つまり、目標広告費用対効果については、コンバージョン値の最大化と比較して考えるとわかりやすいです。
コンバージョン値の最大化は予算を高く設定すれば設定するほど、入札額の高いオークションにも参加し、「予算の許す限りコンバージョン値を獲得」するような動きなのに対し、目標広告費用対効果に関しては、例え予算を高く設定していたとしても、「設定した目標広告費用対効果を達成できない」とAIが判断すると、わざと入札額を低くし、コンバージョン値の最大化よりもオークションに負けやすくなります。
結果、「広告費用対効果の目標額は達成しているが、コンバージョン値は減る」ということも起こります。
よって、インプレッションシェア損失率の傾向としては、コンバージョン値の最大化と比較するとインプレッションシェア損失率(ランク)が高くなります。
コンバージョン値の最大化に設定していて、「コンバージョン値は満足しているが、費用対効果が悪くて困る」といった場合に、使用してみるのがよいですね。
6.まとめ
いかがだったでしょうか?
自動入札戦略は目的に沿ってAIが効率よく入札してくれるので、便利で、かつ人間が手動で入札するよりも効果的な場合も多いです。しかし、そんな便利な自動入札もその特性や扱い方を知らないと逆にビジネスの機会を逃してしまうことにもなりかねません。
この記事を元に一度見直してみてはいかがでしょうか?
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