実績を公開できない製造業のホームページはどう作るべきか?リニューアル事例から学ぶ
2026.07.22
はじめに:「実績を見せたいのに見せられない」製造業のホームページ問題
「ここで作ったものを載せたいんだけど、お客様から公開NGを言われている」
「機密保持の契約があって、加工実績の写真が一切使えない」製造業、特に受託・オーダーメイドの装置・部品メーカーでよく耳にする悩みです。
ホームページのリニューアルを検討すると、「まず実績を載せよう」という話になります。
しかし取引先との守秘義務や機密保持契約があると、具体的な納入事例・製品写真・お客様の社名を掲載することができない。
結果として、「技術力は本物なのにホームページが薄く見える」という状況に陥ります。
本記事では、愛知県知多市を拠点に封入封緘機・供給機などの生産設備をオーダーメイドで開発・製作する企業様のホームページリニューアル事例を中心に、実績公開が難しい製造業でも訪問者に「ここなら頼める」と感じてもらえるサイトの作り方を具体的に解説します。
「実績が見せられない」は本当にデメリットだけなのか
製造業のホームページにおいて、実績(納入事例・製品写真・お客様の声)は最も説得力ある情報です。
しかし機密保持の制約がある場合、それを正面から出すことができません。
では「実績が出せない」は純粋に弱点だけなのでしょうか。
視点を変えてみると、少し違う側面も見えてきます。
機密保持を守っているという事実自体が信頼の証です。
「うちで作った装置は外に漏らしません」という姿勢は、発注担当者からすれば「ここに頼んでも情報が守られる」という安心感につながります。
受託・オーダーメイドの世界では、機密性を重んじる会社と取引したいというニーズが確実に存在します。
ただし、この強みを「伝わる形」でホームページに載せるには工夫が必要です。
単に「実績は掲載できません」と書くだけでは、ただ情報が少ないサイトになってしまいます。
「機密をしっかり守りながら、技術力と対応範囲を伝える」というバランスが、リニューアルの核心的なテーマになります。
製造業ホームページのリニューアルが必要な5つのサイン
実績を公開できる・できないに関わらず、以下のサインが複数当てはまる場合はリニューアルを検討すべき段階にあります。
サイン1:「何を作っている会社か」がトップページで伝わらない
特にオーダーメイドの装置・設備メーカーに多いのが、取り扱い領域が広すぎてホームページを見ただけでは「何の専門家なのか」が伝わらないというケースです。
「各種装置の設計・製作」といった表現では、発注担当者が「自社の課題に対応してもらえるか」を判断できません。
ファーストビューで「何ができる会社か」を端的に伝えることが、リニューアルの最重要課題のひとつです。
サイン2:スマートフォンで正しく表示されない
2020年以降、Webアクセスの過半数はスマートフォンからです。
展示会の会場でその場でURLを調べる、移動中に候補先を検索するなど、製造業の発注担当者もスマートフォンを使った情報収集が増えています。
スマートフォン対応が施されていないサイトは、Googleの検索評価でも不利に扱われます。
サイン3:問い合わせへの動線が整っていない
オーダーメイドの装置・設備メーカーへの問い合わせは、ある程度の「不安」を乗り越えて行うものです。
「相談していいのかわからない」「どんな内容を伝えればいいか迷う」という心理的ハードルを下げる導線設計がないと、せっかく興味を持った訪問者が問い合わせまで進みません。
サイン4:採用ページが薄いか存在しない
製造業の人手不足は深刻で、オーダーメイド装置メーカーも例外ではありません。
「こんなユニークな装置を作っている会社で働きたい」と思える人材に出会うためには、会社の雰囲気・仕事の面白さ・成長できる環境を伝えるコンテンツが必要です。
求人媒体から流入した求職者が、次に必ず確認するのがホームページの採用ページです。
サイン5:サイトが古くなり、会社のポテンシャルを表現できていない
制作から数年が経過し、現在の事業範囲・技術力・設備が正確に反映されていない状態では、サイトが「自社の可能性の足を引っ張る」ことになります。
特に実績を直接見せにくい業種では、サイト全体から伝わる「信頼感」と「可能性の大きさ」が問い合わせの決め手になります。
実績事例:愛知県 設備メーカーのホームページリニューアル

企業概要
愛知県知多市を拠点に、紙の供給機開発を中心とした生産設備・システム開発を手がけるオーダーメイド装置メーカーです。
封入封緘機・供給機などの装置を中心に、現場の生産性・効率性・品質性・安全性を格段に向上させる「世界に1台」のオリジナル装置を開発・製作。
書籍・印刷・化粧品・医薬品・郵便物処理など、業種の垣根を越えた多様なニーズに対応しています。
卓上型郵便物検査区分装置・書籍包装ライン・湿布剤計数供給装置・化粧品サンプル供給装置・選択丁合システムなど、その対応領域は幅広く、「こんな機械できる?」という発注担当者の問いに応え続けてきたプロ集団です。
同社の企業文化を象徴するのが「座布団1枚!」という表現です。
お客様の要望に対してただ応えるだけでなく、プラスアルファの提案で「それ、いいね!」と言わせる発想力と技術力が、全国からの受注を支えています。
リニューアルの背景と課題
リニューアルにおいて、最も重要なテーマのひとつが「機密保持」の問題でした。
「世界に1台」のオーダーメイド装置を手がける性質上、取引先との守秘義務により、具体的な納入実績・製品写真・お客様の社名を公開することが難しい。
しかし「どんな装置が作れるのか」「自社の課題に対応できるのか」を発注担当者が判断するためには、何らかの情報が必要です。
この「実績を直接見せにくい」という制約の中で、いかに企業の技術力・発想力・対応力を伝えるか。これがリニューアルの核心的な課題でした。
【出典:https://quickly.co.jp/seizo/result/873】
リニューアルで実践した3つのポイント
ポイント1:製品情報のカテゴリ整理で「対応範囲の広さ」を可視化する
実績の具体的な社名や詳細を出せない代わりに、「どんな課題に、どんな装置で応えてきたか」という開発実績例を体系的に整理しました。
書籍包装、郵便物検査、湿布剤計数、化粧品サンプル供給、封筒印刷検査など、多様な業種・用途の装置を「こんな機械できる?にお答えします」というメッセージで提示することで、訪問者は「自分の課題にも対応してもらえるかもしれない」という期待感を持てます。
実績の詳細を出さなくても、対応の「幅と深さ」を伝えることはできる、という設計思想が活きています。
ポイント2:採用コンテンツをゼロから整備する
サム技研様が持つ「ユニークな職場環境」と「チャレンジできる仕事の面白さ」は、採用面でも大きな強みです。
「世界に1台のオリジナル装置を開発できる」「いろんな業界の課題解決に携われる」というポイントは、モノづくりに情熱を持つ人材にとって魅力的な要素です。
リニューアルでは採用コンテンツをゼロから整備し、「ゼロからチャレンジしたい方には可能性の感じる内容」として、求職者が入社後のイメージを持てる構成にしました。
ポイント3:企業らしさ・文化をデザインで表現する
機密保持の制約があるなかで差別化するためには、「この会社はどんなチームか」「どんな姿勢で仕事をしているか」という文化・雰囲気を伝えることが有効です。
「+αの提案=座布団1枚!」というサム技研様らしい表現をサイトに活かし、技術力の堅実さだけでなく、発想力と遊び心も持ち合わせた集団であることをデザインやコピーで体現しました。
スペックや実績数値が出しにくいからこそ、「この会社に頼んでみたい」と思わせる雰囲気・信頼感・個性の表現に力を入れることが、オーダーメイド装置メーカーのリニューアルで特に重要なポイントです。
リニューアルで必ず改善すべき5つのポイント
受託・オーダーメイド型の製造業に共通して有効な5つの改善ポイントを解説します。
ポイント1:トップページのファーストビューで「何をしている会社か」を明示する
「封入封緘機、供給機などの設備メーカー」「世界に1台のオリジナル装置を開発します」という端的な一文がトップページにあるだけで、訪問者の「ここは何の会社?」という疑問が3秒以内に解消されます。
特にオーダーメイドの装置・設備メーカーは、扱う業種・用途が広いため、「具体的な専門性」をキャッチコピーで示すことが重要です。
サム技研様の「紙の供給機開発を中心に、様々な課題に生産設備開発でお応えします」というメッセージは、「紙」という具体的な軸を示しながら「様々な課題に応える」という拡張性も同時に伝える優れたファーストビューコピーです。
ポイント2:「実績の代わりに伝えられること」を整理して掲載する
実績の社名・写真が出せない場合でも、対応できる装置・機構の種類、過去に手がけた課題の種類(社名を伏せて)、開発プロセスや対応の流れ、技術者の専門領域や保有資格、対応可能な業種・用途の幅、問い合わせから納品までのおおまかな流れは掲載できます。
こうした情報を整理して掲載することで、「実績写真がなくてもここに相談できそう」と感じる設計が実現します。
「こんな機械できる?にお答えします」という問いかけと、実例の概要(社名なし)の組み合わせは、機密保持を守りながら技術力を伝える有効な手法です。
ポイント3:スマートフォン対応とページ速度の最適化
スマートフォン対応と表示速度の改善は、リニューアルの必須事項です。
特にBtoB製造業では展示会・商談の場でその場にスマートフォンでサイトを確認するケースも増えており、「見た目がきちんとしている」という第一印象が商談の入口になることもあります。
レスポンシブデザインの実装と、画像最適化・不要コードの削減によるページ速度改善をセットで実施することが重要です。
ポイント4:採用ページに「仕事の面白さ」を具体的に伝えるコンテンツを置く
オーダーメイド装置・設備メーカーの採用活動において、「毎回違う課題に取り組める」「ゼロから設計できる」という仕事の面白さは大きな武器になります。
一般的な求人媒体では伝えにくいこうした魅力を、ホームページの採用ページで丁寧に言語化することが、カルチャーフィットした人材の応募につながります。
社員のインタビュー、開発した装置の写真(掲載可能なもの)、入社後のキャリアパス、職場の雰囲気写真などを充実させましょう。
ポイント5:問い合わせへのハードルを下げるひと工夫
オーダーメイド製品への問い合わせは、「こんな漠然とした相談をしてもいいのか」という心理的ハードルが高くなりがちです。
「どんな小さな相談でもお気軽に」「まずはざっくりした相談からどうぞ」という一文をフォームの近くに置くだけでも、問い合わせへの踏み出しやすさが変わります。
また、問い合わせフォームに「課題の概要(大まかで構いません)」という入力欄を設けることで、発注担当者が「何をどう伝えればいいか」という迷いを解消できます。
リニューアルの進め方と制作会社への依頼前に準備すること
機密保持の範囲と、公開できる情報を事前に整理する
リニューアルを制作会社に依頼する前に、「何が公開できて、何が公開できないか」を社内で整理しておくことが重要です。
社名・写真がNGでも、「業種」「課題の概要」「使用した技術の種類」は公開できるケースがあります。
「実績として載せにくい」と判断する前に、何をどの程度まで見せられるかをリストアップしておくと、制作会社との打ち合わせがスムーズになります。
「問い合わせを増やしたい」以外の目的も言語化する
採用強化なのか、新規取引先の開拓なのか、ブランドイメージの刷新なのか。
リニューアルの目的が複数ある場合は、優先順位をつけておきましょう。
目的が明確なほど、制作会社が設計の方向性を定めやすくなり、完成後のサイトに一貫したメッセージが生まれます。
写真・動画の撮影計画を立てる
実績写真が出せない場合でも、工場・設備・社員の写真は積極的に活用できます。
現場の清潔感・設備の充実度・チームの雰囲気は、写真から直感的に伝わります。
プロのカメラマンによる撮影を制作に組み込むことで、会社の「本物らしさ」をビジュアルで表現できます。
公開後の更新体制を事前に決める
リニューアル後に「誰が、何を、どのくらいの頻度で更新するか」を事前に決めておくことが、サイトを長期間活用するための鍵です。
新しい装置の開発事例(掲載可能な範囲で)、展示会出展情報、採用情報の更新など、定期的なコンテンツ追加の習慣化が、サイトの鮮度と信頼感を維持します。
リニューアル後の運用・更新継続の重要性
ホームページのリニューアルは公開がゴールではありません。
公開後の運用こそが、リニューアル効果を最大化するカギです。
Googleをはじめとする検索エンジンは、定期的に更新されているサイトを「活きているサイト」として評価します。
こうした更新が「今も活発に営業している会社」という印象を発注担当者と検索エンジンの両方に与えます。
展示会出展・受賞・新開発装置のお知らせ
展示会への初出展や新しい装置の開発完了など、「会社が前に進んでいる」ことを伝えるニュースは、訪問者と検索エンジンの双方への有効な発信です。
具体的な装置名や社名が出せなくても「新しい分野の装置を開発しました」という情報だけでも、サイトの鮮度を保つ効果があります。
採用情報の定期更新
求人内容・募集職種・採用に関するお知らせを定期的に更新することで、「いつも求人を探している会社」ではなく「成長していて仲間を求めている会社」という印象が生まれます。
採用ページは、リニューアル後も継続的に内容を充実させていくべき重要なページです。
技術コラム・開発秘話の発信
機密を守りながら自社の技術力を発信する方法として、「こんな課題にはこういう機構が有効」「装置設計でよくある失敗とその対策」といった技術的な知見をコラム形式で発信することが有効です。
社名・製品名を出さなくても、「この会社は技術的に深い」という印象を与えることができます。
クイックリーでは、制作後の更新サポート・アクセス解析レポートの提供・SEOやWeb広告の運用まで一貫して対応し、「作って終わり」にならない継続支援体制を整えています。
製造業専門のHP制作会社を選ぶ基準
受託・オーダーメイド型の製造業のリニューアルを成功させるには、業界特有の課題を理解した制作会社を選ぶことが不可欠です。
以下の4点を確認してください。
製造業への業界知識と現場理解があるか
「封入封緘機」「丁合装置」「供給機」「バルク区分」こうした専門用語を理解せずにコンテンツを作ると、技術的な誤りや意味の薄い説明文になります。
打ち合わせで専門用語が通じる、現場の実情を理解した提案ができる。
これが製造業専門の制作会社を見極める基本的なポイントです。
機密保持の制約がある案件への対応実績があるか
「実績を直接見せにくい」「取引先の社名が出せない」という制約のなかでも、サイトとして成立させた実績を持つ会社かどうかを確認しましょう。
こうした制約のある案件をどう解決したかについて、制作会社が具体的に語れるかどうかが判断基準になります。
写真・動画撮影の対応体制があるか
実績写真が出せないからこそ、工場・現場・社員の写真・動画がサイトの印象を大きく左右します。
プロカメラマンによる撮影ディレクション、動画制作まで内製または外部連携で対応できる制作会社であれば、コンテンツのクオリティを最大化できます。
公開後の運用サポート体制があるか
リニューアル後の継続的な更新サポート、アクセス解析レポートの提供、SEOやリスティング広告の運用まで一貫して任せられる会社であれば、公開後も安心して任せられます。
製造業のリニューアルは、公開してからが本当のスタートです。
クイックリーは、製造業に特化した10年以上の制作実績を持つ専門会社です。集客・採用・SEO・MEO・AIマーケティングまで一貫して対応し、Google Premier Partner(全体の上位3%)として広告運用においても高い評価を受けています。
リニューアル投資対効果に関するデータ
ホームページへの投資を考えるうえで参考になる公的データをご紹介します。
経済産業省の「ものづくり白書」では、日本の製造業が直面する課題として、デジタルを活用した情報発信・受発注対応の重要性が毎年指摘されています。
特に中小製造業においては、Webを通じた新規顧客との接点づくりが、受注拡大と人材確保の両面で競争力に直結するとされています。
【出典:https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/index.html】
また、総務省の「情報通信白書」によれば、企業のWeb活用度とビジネス成果(売上・採用)には相関関係があり、中小企業においても積極的なWeb活用が収益向上に寄与することが示されています。
【出典:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/】
「うちは紹介で回っているから大丈夫」という状況は、既存取引先に依存しているうちは安定しています。
しかし新規取引先の開拓や採用活動においてホームページは24時間働き続ける「デジタルの営業窓口」であり、その窓口が古いままでは機会損失が静かに積み重なります。
具体的なリニューアル費用は規模・内容・撮影の有無によって大きく異なりますので、まずは制作会社に相談し、自社の状況に合った見積もりを取ることをお勧めします。
リニューアル判断チェックリスト
以下の項目で3つ以上当てはまる場合、リニューアルの具体的な検討が必要です。5つ以上の場合は早急な対応が求められます。
デザイン・表示
・スマートフォンで正しく表示されない・制作から5年以上が経過し、デザインが競合より古く見える・トップページを見ても何の会社かすぐにわからない
コンテンツ
・最後の更新が1年以上前・対応できる装置・加工の範囲が整理されて掲載されていない・技術力・対応力を伝えるコンテンツが薄い・採用ページがない、または情報が乏しい
機能・導線
・問い合わせフォームへの導線がわかりにくい・電話番号がトップページで目立たない・問い合わせへの心理的ハードルを下げる工夫がない
成果
・ホームページからの問い合わせがほぼない・採用応募がホームページ経由でない・アクセス数を把握していない
まとめ:「実績を見せられない」は工夫次第でブランドの強みに変わる
今回ご紹介した企業様の事例は、機密保持の制約という一見「弱点」に思える条件を抱えながら、「世界に1台の装置を作れるプロ集団」という本質的な魅力をサイトを通じて伝えるリニューアルを実現した好例です。
実績の写真や社名を出せなくても、対応範囲の整理・開発実績例の見せ方・採用コンテンツの充実・企業文化のデザインへの落とし込みといった工夫によって、訪問者に「ここに相談してみたい」「ここで働いてみたい」と感じさせるサイトは作れます。
「技術はある。でも伝え方がわからない」という製造業こそ、専門家とともにリニューアルに取り組む価値があります。
もしリニューアルに関してご不明な点や不安があれば、製造業専門ホームページ制作のクイックリーにぜひ一度ご相談ください。
製造業専門の視点から、貴社に最適なリニューアルプランをご提案いたします。
この記事を書いた人

Tanaka
株式会社クイックリー マーケティング部 次長。兵庫県出身。2021年9月にクイックリーへ入社し、現在は製造業専門のホームページ制作を軸に、Web広告・SEO・MEO対策まで含めたWebマーケティング全般に携わっています。歯車製造、工作機械、自動車部品など200社を超える製造業のお客様を支援してきたチームと連携しながら、現場に即した提案を心がけています。

この記事を書いた人